アウトプットな毎日

インプットからアウトプットへ。忘備録として。そして文章が書きたくて。

狂う人「死の棘」の妻・島尾ミホ

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本の感想です。

ノンフィクション作家の梯久美子

900ページあります!

「狂うひと」というインパクトある題名

「狂ったひと」ではなく「狂うひと」としたところに作者の意図があるのではないかと読後に推測。

 

戦時中に特攻隊の隊長としてミホの住む沖縄、加計呂麻島に赴任した敏雄はミホと恋に落ちる。

任務が下りないまま終戦を迎え二人は結婚する。

敏雄の浮気に大打撃を受け精神を病むミホ。

罵倒や暴力を伴う壮絶で執拗な攻撃は、敏雄だけではなく二人の子供をも巻き込んでいく。

この辺りは敏雄著「死の棘」を是非。

ミホは後に作家でも名を成します。

お孫さんのしまおまほさんも有名です。

娘さんの島尾マヤさんの人生も興味深いです。

 

島尾ミホさんは昔から気になっていて、こんな純粋な人いるのかしらって。

死の棘読んで、こえぇーってなってますます好きになりました。

 

この本はかなり分厚いのですが、ミホの生涯に加えて、

死の棘のあらすじや

ミホと敏雄の年譜、

ノンフィクション界の帝王っぽい沢木耕太郎さんと著者である梯久美子さんの対談もあります。

お得感読み応えばっちり。

 

で、感想として、

ぶっちゃけ著者は、

ミホの「ビジネス狂い(言い方キツくてすみません…)」

の疑いを丁寧に紐解いていったのではないだろうか。

夫に浮気され精神を病んだかわいそうな妻、沖縄の巫女の血を引く神秘的な存在というイメージを壊さないために。

精神を病んだことは事実ですが、敏雄もミホも日記魔、メモ魔、お互いが書いたものを確認できる存在だったといいます。

 

 

「死の棘」は岸辺一徳松坂慶子主演 

小栗康平監督で映画化されました。

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TSUTAYAになく、ずーっと未見でしたが、最近図書館のライブラリーで見つけてようやく見ることが出来ました!

予想通り安定のエグさ。

私の中のミホのイメージは後に「海辺の生と死」でミホを演じた満島ひかりの方が近いです。

もちろん松坂慶子も良き。

 

月並みですが、ミホさんは本当に敏雄さんが好きだったんですね。浮気されて病んじゃうんですから。

私も浮気されたことありますし、かなり引きずる方ですけど、病みませんね。じきに元気になります。

 

昔から病む人と病まない人の違いについてよく考えます。

病むボーダーラインって何なんだろ。

フロイトとか勉強した方がいいかな。

 

とにかく、ノンフィクション作家さんの膨大な取材力に脱帽です。

絶対なれない職業だと思いました。