倒錯の庭(小池真理子)
電灯を消した仄暗い部屋の中で、私は今、竹彦と一緒にキノコを食べている。
ヌメリイグチという名の、黄色い湿ったキノコだ。
1996年小池真理子の短編集の表題作「倒錯の庭」の冒頭。
つらい離婚を経験した主人公の女性教師が新たな赴任先で出会う若い男性「竹彦」との物語
もう冒頭から不穏すぎてわくわく。
小池真理子の本は若いころ随分読んだ。
「恋」に代表される恋愛ものも好きだが、この「倒錯の庭」はミステリー調。
今でいうイヤミスだろうか。それに恋愛と狂気がからんでくる。
ネットなどで見る小池さんは知的でエレガント。おまけに痩身でどことなくミステリアスな雰囲気をまとっていらっしゃる。
そう!まさに彼女の作品の主人公のイメージに重なるのだ。
日記を書くにあたりググってみると、最近は相次いでご家族を亡くされたそうな。
作品にどんな影響が出るのだろうか。
恋愛の匂いのしない小池作品も読んでみたいものです。
幸福感が嗚咽を漏らした。自分は悪魔だ、と私は思った。